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『サンドラの週末』にみる労働と人間


ネタバレします

sandoranosyumatsu_convert_20160412173659.jpg
www.amazon.co.jp


ダルデンヌ兄弟監督、マリオン・コティヤール主演の
映画『サンドラの週末』を観ました。
ダルデンヌ兄弟の映画は、静かで単調で、
結末もはっきり示されないことが多く、
難解な映画というイメージがありますが、
『サンドラの週末』はめずらしく分かりやすい話の展開で、
結末もはっきりとしている作品でした。

疑問 (というか謎) に思うポイントは多かったけど、
同時に労働のあり方、さらには人間のあり方まで考えさせられる、
やっぱダルデンヌ兄弟すげえってなりました。





あらすじ:(Wilipedia)
体調を崩し、休職していたサンドラ。
回復し、復職する予定であったがある金曜日、突然解雇を告げられる。
解雇を免れる方法は、同僚16人のうち過半数が自らのボーナスを
放棄することに賛成すること。 ボーナスか、サンドラか、
翌週の月曜日の投票に向けて、サンドラが家族に支えられながら、
週末の二日間、同僚たちにボーナスを諦めてもらうよう、説得しに回る。



deux-jours-une-nuit_convert_20160412175812.jpg
www.moviestillsdb.com



フランス(ベルギー?)の細かな経済状況はよく分からないけど、
映画が始まってすぐに見て取れるのは、サンドラとその夫は低所得者であり、
サンドラの同僚も低所得者。サンドラは鬱病を患い、それがやっと治り
復職しようとしているのにリストラされる、社会的弱者です。

最初に、そもそも観る前から引っかかっていたのは、
こんな、パワハラどころじゃない人権侵害的な投票ってまかり通るものなの?
という点。いくら被雇用者とはいえ、こんなことさせて苦しませてる会社が
あるって、フランス(ベルギー?)やばくない?
日本だったら、こんなことが起きたらまず労働局に相談するなり、
法に訴えられる可能性があるなら弁護士に相談するなり、
味方となってくれそうな人や機関に助けを求めたりするよね…。
今なんかだとリアルな話、SNSでその話が拡散されれば
一気にパワハラだブラックだ、つってその会社は吊るし上げられるだろう。
(それで会社が潰れたら困るのも被雇用者なんだけど)
サンドラや同僚たちが厳しい選択に迫られ苦しんでいるのに、
誰一人そういう提案をしないから、きっとそういう手段も
絶たれているんでしょう。

しかも、こんな酷いことしておいて社長や主任の偉そうな態度…
「なかなかやるな」じゃねーよゲームじゃねえんだよ…!
コンプライアンスっていう概念は無いのかよ…


この辺の描写には本当にビックリさせられました。
この国には労働者が何かに困ったときに助けを求める
場所も術も無いのでしょうか。
そして悲しくとも驚くのは、こんな思いをさせられてまで
その職にしがみつかなくてはいけない状況があるということ。
ヨーロッパも日本同様、職の奪い合いが激しく、もっと言えば、
移民政策などにより、日本よりも過酷な状況にあるのかもしれません。
「そんな酷い会社すぐに辞めて他の仕事探せばいいのに」と
思っていたけど、それもほぼ不可能な厳しい状況なのでしょう。

あと、結婚してるなら別にそんなに焦る必要も無くない?
とも思うけど、前述の通りサンドラたちは低所得者。
少し前まで、公営住宅 (描かれ方から、かなり劣悪な環境の住宅だと思われる)
に住んでいて、やっと今人間らしい生活が出来ている様子。
日本では共働きか、仕事を辞めて専業主婦(夫)やるか選択できる場合も多いけど、
サンドラたちの場合は、サンドラの職が無い=路頭に迷い兼ねないこと。
「働きたい、やりがいを見つけたい」なんていう贅沢な理由での
職へのしがみつきでは決して無い。

「ボーナス」という響きから、なんとなく「オマケの給料」
というイメージがあったから、ボーナスくらいみんなで諦めてあげれば
いいじゃんって思ってたけど大間違いでした。
それぞれみんな生活が苦しくて、ボーナスが無ければ生活が困窮する、
もしくはすでに困窮しているからボーナスが無いといよいよ終わり
という状況の人もいる。みんな自分だけでなく、家族、子ども、
守らなくてはならない生活があるから苦渋の決断を迫られます。
サンドラの説得もうまくいかないはずです。

説得に行った先で同僚とその家族が殴り合いの喧嘩をしたり、
冷たくあしらわれたり、居留守を使われたり、
心が折れそうになってゆくサンドラ。
精神安定剤と思われる薬をオーバードーズしたり、
やけになって夫に離婚を切り出したり、事態は悪化していきます。




sans-titre_convert_20160412180318.jpg
lanuitartificielle.wordpress.com



だけど、そんな絶望的な状況の中でもサンドラは、
人間としての様々な美しい行動や生き方に出会います。
当初サンドラよりもボーナスを選ぼうとしたことを恥じて涙する同僚。
サンドラを選ぶことを夫に反対され、ついには離婚してサンドラに投票する同僚。
自分が危うい立場に置かれるリスクを背負ってもサンドラを助けようとする同僚。

自分が過去に与えた優しさが今に繋がることを知ったり、
離婚した同僚の力になることで新たな友情が生まれたり、
どん底の中でも幸せなこと、楽しいことが生まれるのを知ります。




結果的に投票は過半数に至らず、サンドラは職を失います。
社長から、「投票では勝てなかったけど、サンドラの代わりに
臨時社員をクビにするから復職していい」と言い渡されますが、
あの時自分を救おうとしてくれた同僚を救うため、
サンドラは自分を犠牲にします。サンドラとその家族はしばらくは、
もしかしたら永遠に困窮するかもしれないけど、
最後の決断で、人間としての威厳は失わずに済んだ。

結果としては、当初最も恐れていた「失業」なのに、サンドラの顔は晴れやか。
それは週末の間、一生懸命頑張ったことで自信を持ち、
人間捨てたもんじゃないと思える他人の行いのおかげで
優しい気持ちにもなっている。未来への希望と意欲もある。

弱者が弱者なりに戦い、他の弱者をかばう。
あまりにもスケールが小さい話だけれど、
世界が180度変わるような感慨がありました。









Marion-Cotillard-a-Cannes-pour-Deux-jours-une-nuit_convert_20160412181051.jpg
www.elle.fr

兄弟からキスを受けるマリオン・コティヤール!
なんとうらやましい。







いつも映画を観た後は、Yahoo映画のレビューをチェックするけど、
共感というか、私の感じたことを代弁してくれるようなレビューが
あったので引用します。


被雇用者=弱者どうしで争わせ、自らの強欲さから目を反らせる
雇用者=強者という、全世界の縮図なのだが、
そういう視点はやはり日本にはないらしい。
そういう視点がなければ、この映画が退屈なのは当然だろう。
あとこの主人公の行動を身勝手と断じるレビューが多いのもびっくりした。
終身雇用が保証され、それを誰の犠牲も無い自分だけの手柄と
信じ切れる人なのだろうか。どちらにしても想像力の欠如がすごい。
また、よくある、辛いのは主人公だけじゃないのにとい意見。
それなら世界で一番辛い人しか自己主張しちゃいけないのか?
しかも、この主人公は、最後は自己犠牲により他者を助けた。
つまり、この主人公が一番大事にしてるのは、
当面のお金以上に人間の尊厳なのだ。




article_dardenne_convert_20160412181823.jpg
www.cinechronicle.com

左、歯ぐきかわいい


deux-jours-une-nuit+(1)_convert_20160412181836.jpg
www.myfrenchfilmfestival.com

流行のGジャンを早速取り入れる兄弟
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プロフィール
 
 

Coco Iijima

Author:Coco Iijima
ヒップホップ・アクティヴィスト
1990年 東京生まれ

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またはメールaaliyahr.kelly2001@gmail.com ください。
大歓迎です。お仕事のご依頼も上記アドレスまで。

 
 
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